ふるさと納税を退職する年に行うポイント7つ|上限額は年内の所得見込みから考えよう!

ふるさと納税を退職する年に行うポイント7つ|上限額は年内の所得見込みから考えよう! 制度

退職する年でもふるさと納税は利用できますが、前年と同じ寄附額でよいとは限りません。

年の途中で会社を辞めると年間の給与収入が下がりやすく、自己負担を原則2,000円に収められる控除上限額も小さくなる可能性があります。

一方、退職金は通常の給与とは課税方法が異なるため、受取額をそのまま年収へ足して上限額を増やす考え方には注意が必要です。

退職後に再就職するか、年末まで無職で過ごすかによっても、その年の所得見込みは大きく変わります。

ここでは、退職する年のふるさと納税で押さえたい上限額、退職金、失業給付、住民税、確定申告の考え方を順番に整理します。

ふるさと納税の魅力を深く知る一冊

ふるさと納税を退職する年に行うポイント7つ

退職する年だからといって、ふるさと納税が利用できなくなるわけではありません。

重要なのは「退職した事実」ではなく、寄附した年の所得や所得控除などから、その年に対応する税額を見積もることです。

まずは退職年に判断を誤りやすい7つのポイントを確認しましょう。

退職年も利用できる

ふるさと納税は自治体への寄附であり、会社員であることは利用条件ではありません。

退職後に無職になった人でも寄附はできますが、所得税や住民税の負担が少なければ、税控除によるメリットを十分に受けられない場合があります。

「寄附できる金額」と「自己負担を原則2,000円に抑えやすい金額」は分けて考えることが大切です。

年内の所得で考える

退職する年の上限額を見積もるときは、前年の源泉徴収票にある年収をそのまま使うのではなく、寄附する年の所得見込みを基準にします。

たとえば6月末で退職して年内に働かない場合、前年に12か月勤務した年より給与収入が大きく減る可能性があります。

年末に近づき年間収入が見えてから試算すると、早い時期の概算より精度を上げやすくなります。

  • 退職までの給与・賞与
  • 再就職後の給与・賞与
  • 副業などの課税所得
  • 所得控除の見込み

上限額は下がりやすい

ふるさと納税の住民税特例控除には、住民税所得割額の20%という上限があります。

途中退職で給与所得が減れば住民税所得割額も小さくなりやすいため、現役で1年間勤務した年より寄附上限額が下がるケースがあります。

ただし、同じ年に再就職して十分な給与を得る場合や、ほかに課税所得がある場合は、必ずしも大幅に下がるとは限りません。

退職金は単純加算しない

一般的な退職一時金は退職所得として給与所得などと分けて計算され、住民税も通常は支給時に現年分離課税されます。

そのため、給与年収を入力する一般的なふるさと納税シミュレーターへ、退職金の受取額をそのまま加算する方法は避けましょう。

通常の退職所得にかかる住民税所得割額は、ふるさと納税の特例控除の上限計算に用いる所得割額には原則として含まれません。

収入など 上限試算での基本的な考え方
退職までの給与 年間給与に含める
再就職後の給与 同じ年なら合算する
通常の退職一時金 給与へ単純加算しない
失業給付 給与年収へ加算しない

失業給付は非課税

雇用保険の基本手当などの失業等給付は非課税とされるため、一般的な給与年収として上限額計算に足しません。

退職後に生活費として受け取る金額が多くても、それがそのまま課税所得になるわけではない点に注意しましょう。

銀行口座への入金額ではなく、税法上どの所得に該当するかを分けて考える必要があります。

翌年の住民税に反映される

退職する年に行ったふるさと納税の住民税控除は、原則として翌年度の個人住民税に反映されます。

退職して翌年に収入がなくても、前年である退職年に課税所得があれば翌年度の住民税が発生することがあり、その税額から所定の控除が行われます。

「翌年は無職だから今年のふるさと納税は意味がない」と一律に考えるのは適切ではありません。

寄附後の収入減に注意する

退職前に前年の年収を基準として多額の寄附を済ませ、その後に予定外の早期退職をすると、想定していた上限額を超えることがあります。

上限を超えた部分まで寄附自体が無効になるわけではありませんが、自己負担が2,000円を超えて増える可能性があります。

退職予定がある年は、年間所得の見通しが固まるまで寄附枠を使い切らず、余裕を残しておく方法が安全です。

退職時期で上限額はどう変わる?

退職する月が早いほど給与収入が少なくなる傾向があるため、ふるさと納税の上限額も小さくなりやすくなります。

ただし、賞与の有無や再就職、副業などによって年間所得は変わるので、退職月だけで上限額を決めることはできません。

自分の状況に近いケースから、何を年間収入へ含めるかを整理しましょう。

早期退職

1月から春ごろまでに退職し、その後は年末まで働かない場合、その年の給与は数か月分にとどまります。

前年のフルタイム年収を前提に寄附すると上限超過のリスクが高まるため、退職までの給与と賞与を基礎に再計算する必要があります。

早期退職が決まっているなら、年初に年間枠を一括で寄附するより、収入の見込みが固まるまで一部を残すほうが調整しやすいでしょう。

  • 退職月までの給与を集計
  • 賞与の支給有無を確認
  • 再就職予定を反映
  • 副業所得も必要に応じて反映

年末退職

11月や12月など年末近くまで勤務する場合は、1年間勤務した年に近い給与収入になることがあります。

そのため上限額の落ち込みが小さい場合もありますが、前年と給与や賞与、所得控除が同じとは限りません。

源泉徴収票や給与明細を使い、その年の実績に近い数字で最終確認してから寄附額を決めると安心です。

状況 上限額の傾向 確認したい数字
年初に退職 下がりやすい 退職までの給与
年末に退職 前年に近い場合もある 年間給与・賞与
年内に再就職 転職後収入で変動 2社分の給与

年内再就職

退職した年のうちに別の会社へ再就職した場合は、原則として旧勤務先と新勤務先から受け取った同年分の給与を合わせて考えます。

退職と転職の間に空白期間が短ければ、年間給与が前年と大きく変わらないケースもあります。

一方で転職による給与水準の変化や賞与の減少があれば上限額も変わるため、前年年収の流用ではなく年内の合計見込みを使いましょう。

退職金を受け取ったら上限額は増える?

退職する年は給与に加えてまとまった退職金を受け取ることがあり、ふるさと納税の上限も大きく増えるように見えます。

しかし、一般的な退職金は退職所得として給与所得とは別に計算されるため、単純な合算はできません。

特に給与年収だけを入力する簡易シミュレーターを使う場合は、退職金を年収欄へ足さないことが重要です。

退職所得の計算

退職所得は原則として「収入金額から退職所得控除額を差し引いた金額の2分の1」で計算されます。

退職所得控除は勤続年数に応じて計算されるため、受け取った退職金の全額がそのまま課税所得になるわけではありません。

勤続年数が5年以下の役員等や短期退職手当等には別の取扱いがあるため、該当する場合は一般的な計算だけで判断しないようにしましょう。

勤続年数 退職所得控除額の基本
20年以下 40万円×勤続年数、最低80万円
20年超 800万円+70万円×20年超の年数

現年分離課税

通常の退職所得に対する住民税は、ほかの所得とは分離して退職金の支払時に計算・徴収される現年分離課税です。

この退職所得にかかる住民税所得割額は、ふるさと納税の特例控除上限を計算するときの所得割額には原則として含まれません。

「退職金が1,000万円増えたから給与年収も1,000万円増えたものとして寄附できる」といった計算は避ける必要があります。

  • 退職金は給与と別区分
  • 住民税は原則として支給時に精算
  • 給与用シミュレーターへ単純加算しない
  • 特殊な退職所得は個別確認

申告時の扱い

「退職所得の受給に関する申告書」を勤務先へ提出している一般的なケースでは、退職金の税額は支給時に計算され、退職所得だけを理由に確定申告する必要は原則ありません。

ただし、ふるさと納税や医療費控除などのために確定申告書を提出する場合は、退職所得についても申告書上で適切に扱う必要があります。

退職金の源泉徴収票は捨てずに保管し、確定申告をする場合に確認できるようにしておきましょう。

退職翌年の住民税はどうなる?

退職後に収入がなくなると、「翌年は税金がないから控除も受けられないのでは」と考えがちです。

個人住民税は前年の所得を基に翌年度に課税されるため、退職年に所得があれば、翌年に無職でも住民税が発生することがあります。

退職年のふるさと納税を考えるときは、寄附した年の所得と翌年度に課税される住民税のつながりを理解しておきましょう。

前年所得が基準

個人住民税の所得割は、基本的に前年の所得を基に計算されます。

たとえば2026年中に退職して同年中にふるさと納税をした場合、住民税側の控除は原則として2027年度の住民税に反映されます。

2027年に給与収入がないことだけを理由に、2026年分の寄附による控除がなくなるわけではありません。

  • 寄附年の所得税で所得控除
  • 翌年度の住民税で税額控除
  • 住民税特例分には所得割額の上限あり

納付方法が変わる

会社員の住民税は給与から天引きされる特別徴収が一般的ですが、退職すると残額の納付方法が変わることがあります。

退職時期や勤務先での処理によって、一括徴収されたり、自宅へ届く納付書などで普通徴収したりするため、ふるさと納税とは別に納税資金を確保しておくことが重要です。

控除があることと、住民税の請求そのものがなくなることは同じではありません。

時期 主な確認事項 ふるさと納税との関係
退職年 年間所得を確定 寄附額の基準になる
翌年 住民税通知を確認 控除反映を確認する
申告後 申告内容を保存 控除漏れの確認に使う

翌年の寄附は別計算

退職年に行うふるさと納税と、退職した翌年に行うふるさと納税は別々の年として考えます。

翌年に無職で課税所得がほとんどなければ、その翌年分の寄附について自己負担2,000円に収められる上限は非常に小さくなるか、実質的にメリットを得にくい場合があります。

退職年に所得があるからといって、その上限枠を翌年へ繰り越して寄附することはできません。

退職年の手続きはどう進める?

ふるさと納税の控除を受ける方法は、ワンストップ特例か確定申告が基本です。

退職者は中途退職による所得税の精算や医療費控除などで確定申告をすることがあり、その場合はワンストップ特例との関係に注意が必要です。

寄附しただけで自動的にすべての控除が完了するわけではないため、年末から翌年にかけて必要書類を整理しましょう。

ワンストップ特例

確定申告が不要な給与所得者などで、寄附先が5団体以内などの要件を満たす場合は、ワンストップ特例を利用できます。

ただし、退職した年に所得税の還付を受けるため確定申告を行うなど、最終的に確定申告書を提出する場合は、申請済みのワンストップ特例は無効になります。

その場合は、ワンストップ申請済みの寄附も含め、すべてのふるさと納税を確定申告へ記載します。

  • 寄附先は5団体以内
  • 確定申告をしない人向け
  • 確定申告すると特例は無効
  • 申告時は全寄附を記載

中途退職の確定申告

年の途中で退職し、その年のうちに再就職しない場合は、勤務先で年末調整を受けられず、給与から源泉徴収された所得税を納め過ぎていることがあります。

確定申告によって税額を精算し、還付を受けられるケースがあるため、退職時に交付される給与所得の源泉徴収票を保管しておきましょう。

ふるさと納税の寄附金控除も同じ確定申告に含めれば、別々に手続きする必要はありません。

書類・情報 主な用途
給与所得の源泉徴収票 年間給与・源泉税を確認
退職所得の源泉徴収票 退職金の税務情報を確認
寄附金受領証明書等 寄附金控除の手続き
各種控除証明書 所得控除を反映

年末の再計算

退職予定がある人は、年初に上限額いっぱいまで寄附するより、年末に近づいてから最終的な所得見込みを再計算する方法が向いています。

退職までの給与、賞与、再就職後の給与、副業所得、扶養状況、社会保険料や生命保険料などの控除条件を最新の状態へ更新しましょう。

簡易シミュレーターは目安なので、収入源が多い人や退職所得の扱いが特殊な人は、自治体の税務担当窓口や税理士などへ確認すると確実です。

退職年は所得を見直してから寄附額を決めよう

ふるさと納税は退職する年でも利用できますが、前年の年収をそのまま使わず、その年に実際に得る給与や課税所得を基準に上限額を見積もることが重要です。

年の途中で退職して給与が減るほど上限額は下がりやすいため、退職予定があるなら早い段階で寄附枠を使い切らないほうが調整しやすくなります。

通常の退職一時金は給与とは別に扱われるため、一般的な給与年収のシミュレーターへ受取額を単純加算しないようにしましょう。

退職後に無職でも、退職年の所得を基に翌年度の住民税が課税されることがあり、退職年に行った寄附の住民税控除は原則としてその翌年度に反映されます。

最後に源泉徴収票や控除資料をそろえて年間所得を再計算し、確定申告をする場合はワンストップ特例分も含めてすべての寄附を申告することが大切です。

ふるさと納税の魅力を深く知る一冊